今回は神経症に対する精神療法である『森田療法』について扱った本の紹介。私かもしかは性格が非常に神経質で不安症なので、森田療法なるものがあると聞き、その治療法を試してみたいと思い、本書を手に取った。ちなみに著者の岩井さんは森田療法の継承者の一人。
あなたも「神経質性格」をお持ちでは?
森田療法は、1919年に精神科医の森田正馬によって創始された精神療法で、対人恐怖や広場恐怖などの恐怖症、強迫神経症、不安神経症などに高い治療効果をあげている療法だ。森田先生曰く、神経症にになりやすい典型的な性格傾向として「神経質性格」が認められるとのこと。
「神経質性格」とは・・
・内向的、自己内省的
・心配性、小心、敏感、些事にこだわりやすい
・完全主義、理想主義、頑固、負けず嫌い
のような弱気と強気の両面を有する性格で、弱気の部分と強気の部分が共存している。そのため、弱気な自分を強気な自分が許容できず、内的な葛藤を招きやすくなるという分析がされている。(参考URL)
これ完全に私・・orz
「あるがまま」というキーワード
『森田療法』はそういった神経質性格により内的に葛藤を抱えてしまった方を対象にした精神療法である。この療法の基本は「あるがまま」という言葉だと思う。私も含めた神経質性格の人は、常に不安と戦い、それを消そうと必死に努力し、結果的に不安がますます増えるという、悪循環に陥っている。
私の毎朝のあるあるが、プラットフォームで電車を待っている→少し腸に刺激を感じる→まさか、今日は大丈夫と思ったのに!これから腹痛が襲ってくるのでは!?(不安)→やばいやばい、腸のこと考えないようにしないと。(不安と戦う)→ますますお腹が痛くなってくる→THE END
この悪循環、毎朝体験している。笑
しかし、『森田療法』では「あるがまま」、すなわち、不安を消そうとするのを止めて、不安をそのままにしておくことという方法を取る。さらにもう少し踏み込んで、その不安(森田療法では生の欲望と呼びます)はそのままにしておくだけでなく、むしろ前向きなパワーに変えてしまおうというのが最終的な目的地である。
本を読んでみて
本を読み、“不安に対してこういう捉え方もあるんだ”と新しい見方ができるようになった。先ほどの朝の通勤の例のとおり、いままでは(今でもたまに)不安を消そう消そうとして腹痛に抵抗ばかりしていたが、それが逆に良くないということをこの本は教えてくれた。人間ってネガティブな感情をマイナスに捉えがちだが、ネガティブな感情はより良くなりたいという思いの裏替えしという考え方に変えることで、それをパワーにすることができる。
非常に心に響くことも多かったので、本書は時々見返すようにしている。実際に「あるがまま」を実践するのは簡単ではないが、瞑想やボディスキャンなどで心を整えながら、『森田療法』も意識して日常生活を送っていきたいと思う。
まとめ
本書ではここで紹介した「あるがまま」 の詳細が解説されているほか、 「目的本位の行動」など他にも大変勉強になる内容が書かれている。分厚い本ではないので、休日なら一日で読み終えてしまうと思う。
日々の緊張や不安感により過敏性腸症候群の症状が出ていると思われる方はぜひ本書を一読されることをおすすめ。