低FODMAP食がIBSの症状を緩和する(『Gastroenterology』より)

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今回は、Elsevier社から2014年1月に発行された『Gastroenterology』(Volume 146)に掲載されていた「IBS治療のための食事法」という記事を紹介。なお、Elsevier社は医学・科学技術関係を中心とする世界最大規模の出版社で、オランダ・アムステルダムを本拠としている会社だ。

記事はオーストラリアにあるモナッシュ大学のDr. Emma P. Halmos(以下、Dr. Halmos)が行った実験について書かれており、低FODMAP食の有効性が示されている。
ちなみにソースはこちら。(2021年3月30日アクセス)

※赤字は管理人かもしかの感想です。

背景とねらい

過敏性腸症候群(IBS)患者の症状改善のために、発酵性のオリゴ糖、二糖、単糖、およびポリオール(FODMAP)の少ない食事がよく使用されているが、その有効性の証拠は限られている。そこで、オーストラリアの食事に低FODMAP食を取り入れたときの効果を調査した。

Dr. Halmosによると、西欧では低FODMAP食が有効だという実験結果があるが、それは普段から西洋の食事を摂取している人にのみ有効ということでは?という疑問があったので、オーストラリアでも実験をしてみたとのこと。

方法

IBS患者30人と健康な8人の健康な個人について、まずいつもの1週間の食事データを集めた。その後、参加者は無作為に、「低FODMAP食グループ」と「典型的オーストラリア食グループ」に分けられ、21日間の観察が行われた。低FODMAP食グループでは、1食あたりのFODMAPの摂取量が0.5 g未満になるよう調整された食事が提供された。被験者の便は17〜21日目に集められ、頻度、体重、含水量、そしてKing’s Stool Chartの評価が行われた。

King’s Stool Chartとは便を評価する指標になるらしい。こんなものがあるとは知らなかった。

結果

低FODMAP食グループに所属していたIBS患者は、典型的グループに比べ、消化器官症状スコアが低くなり、IBSの症状が軽減した。また、低FODMAP食を摂取している間、便通に対する満足度が高くなった。ただ、King’s Stool Chartのスコアが変化したのは唯一下痢型IBS患者だけだった。

低FODMAP食は下痢型、便秘型の両方に対して痛みを軽減する効果があったようだ。ただ、便のスコアが改善したのは下痢型だけだったようだ。逆に言うと、下痢型の方は痛みも軽減する上に便の状態も良くなるってことだよね。すごい!

記事を読んで(管理人かもしかの感想)

今回は江田先生の著書にも書かれていたモナッシュ大学の実験の元データに当たってみた。IBS関連の情報は巷に溢れているので、真偽を確かめるためにも元データに当たってみるのは大事だよね。自分も実践している低FODMAP食、やはり効果があるんだと改めて確信が持てて良かった。
まだ試したことない方、下痢型・便秘型のどちらにも効果があるみたいなので、ぜひ試してみては?

 

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